何が何だ(どうだ)の英語構文についてもっと詳しく

これまでの説明では、次の疑問が出てきますよね。

「私、1 4 歳 です」「彼女は親切だな」「あの子は中学生」「こ れはペンだよ」のような文はどうなるのか?

その日本語には、 「~ する」に当たる動詞がありません。

大丈夫 です。そういう文は、日英ともに同じ順なんですよ。
逆順にはなりません。

人はだれでも、ものごとをとらえるときの基本的なフレームを三つもっています( フレームは、文の型でもありますよ)。

( 1 ) 何か( だれか) が何かをする、ととらえるフレーム
「私は東京に住んでいます」「きのう先生が車を運転していたよ」など、動詞があれば、このフレームでものごとをとらえているのです。

( 2 ) 何が何だ( どうだ)、ととらえるフレーム
これが、上の「私、1 4 歳です」などの文になります。

( 3 ) 何か( だれか) が何かをされる、ととらえるフレーム
「トムはみんなに好かれている」「オレ、きのう親父 に殴 ら れた」のような受け身 といわれることがらです。

受け身の文に も動詞がありますが、ちょっと特殊です。

この三つのうち、( 3 ) のしくみは( 1 ) で説明できます

したがって、( 1 ) と( 2 ) が、人間が頭の中でもの ごとをとらえるときの基礎 になります

この二つのフレームでできた文を、それぞれ( 1 )「A パターン」、 ( 2 ) 「B パターン」と呼びましょう。


「何が」は「だれが」を含みます。それを「何が( だれが)」といちいち表記するのはわずらわしいので、上のようにすっきりと「何が」と略記します。

「~ する( した)」「何だ( どうだ)」も同様です。

これ以降、パターンを一般的に示す場合は、( A )「何が、する、何を」、( B )「何が、何だ」、という書き方にします。

「何が、する、何を」(「何を」がない場合も含む) がA パターンの骨格で、「何が、何だ」がB パターンの骨格です。

骨格がパターンの決め手です。

うしろのほうの「・・・・」の部分は、「どのように、どこ、いつ」などのことです。パターンの区別には関係しません。


B パターンの特質

さっきの「私、1 4 歳です」は、「私は、( 何だ? )、1 4 歳だ」の型になっていますから、B パターンです。

「あの子は中学生」「これはペンだよ」も、「あの子は、( 何だ? )、中学生だ」「これは、( 何だ? ) 、ペンだ」で、B パターンですね。

B パターンというのは、主語に当たる人( もの) のできごと( 行動) をとらえる型ではありません。それ自体の姿をとらえる型です。

ここでいう「姿」とは、主語を本体とすると、本体自体の一面( ある側面) のことをいいます。年齢、形、名前( ものの名称も含む)、職業など、それ自身の中身のことです。

「このリンゴは大きい」「それは赤い」の「大きい」「赤い」も、同じです。

また、「彼女は親切だ」など、本人の性格も本人の一面です。

「私、うれしいのよ」のような一時的な気持ちも現時点の一面です。そういう性格や気持ちという面については「何が、何だ」とはいいがたいので、「何が、どうだ」と示すほうがいい場合も
ある、としておいたのです。

「何だ」にはそういう「どうだ」も含む、ということを前提して、B パターンを「何が、何だ」の型としておきますよ。

日本語の「好き」と「ほしい」には注意してください。

「私、あなたが好き」などの「好き」は、日本語では「動詞」ではありません( 形容動詞)。でも、「愛している」や「好む」という動詞と同じ意味だから、このサイトでは動詞扱いにします。

動詞のある文だから、A パターンです。

「私、あなたが好きだ」と言っても、「何が、何だ」の型ではありませんよ。「私、あなたを愛している」と同じに考えることです。

英語で“ I love you. ” って言うでしょ。‘ love ’ は「好き」に当たる動詞です。だから、英語もA パターンです。

「ほしい」(want) も、日本語では「動詞」ではありません(形容詞)。

でも、「欲する」と同じ意味です。このサイトではこれも動詞扱いにして、「~ がほしい」はA パターンとします。



英語のB パターンの特徴

「私、1 4 歳です。」「彼女は親切だな。」の場合、これを英語にすると、“ I am 14 . ”“ She is kind. ”です( 「. 」はピリオドといい、「。」と同じ意味)。

次の図を見てください(「~ です」「~ な」などは、英語では意味をもちませんので、無視することですよ)。
「何が、何だ」のパターンについて英語と日本語を比較

「私」は‘ I ’、「1 4 歳」は‘ 1 4( あるいは、1 4 years old )、「彼女は」は‘ S h e ’、「親切だ」は‘ kind ’ です。

「何が」と「何だ」の二つの欄だけでいえば、日英とも同じ順です。「1 4 歳、私」なんていう逆順にはなりません。

ところが、英語には黄色の欄( a m とi s ) がそれぞれ真ん中に入り込んでいます。

これは何だ?

何度も言うことになりますが、英語には「は」などの助詞がありません。だから、「私、1 4 歳」なら、‘ I ’ が主語「何が」に当たり、‘ 1 4 ’ が「何だ」に当たる、という欄の関係を何か
で示すしかありません。

「だれと」とか「どこで」などの欄なら、それなりの合図となる語をともなうのですが、骨格となる欄は合図となる語をもちません。順番で決まるのです。

そこで、英語は、A パターンの場合と同様に、B パターンでも動詞を呼んできます。「動詞の前にいる自分が主語だ」と宣言する方法をとるのです。

呼ばれたのが‘ am ’‘ is ’ です。もう一つ、‘ are ’ というのもあります。どれも同じ意味の動詞ですが、「何が」と「何だ」のつなぎ役・連結役をするだけの軽くてほとんど意味のない語
です

でも、一応は動詞です。あえて日本語にすると、「~ の姿でいる」「~ としている、~ として存在している」という意味になります。

「いる」が基本、と思っていてください。

したがって、“ I am 1 4 . ”“ She is kind . ” をA パターン風にいいかえれば、
「私は、いる、( 年齢の面では) 1 4 歳( として)」
「彼女は、いる、( 性格の面では) 親切( な姿で)」

という感じですね。

しかし、なにしろ日本語のB パターンでは動詞はいらないのだから、英語でもその動詞は重要視されません。

実際、声に出しても文字に書いても、「I am 」が「I ’ m 」 、「She is 」が「She ’ s 」 と略されることが多いのですよ。

半分は消えていますね。そのくらいの軽さです。

このサイトでは、これ以降、しばらくのあいだ、B パターンで‘ am ’などを使う場合には「* 」という記号を用います。「ウン」とでも何とでも読んでください。「つなぎ役」という印です。

いちいち「~ の姿でいる」と書かないで済みます。

なお、‘ a m ’‘ i s ’‘ a r e ’ は、A パターンでも使われることがあります。

‘ a m ’ などを「= 」の意味で考える人が多いようですね(「です」は論外)

「= 」でもいい場合はありますが、たいていはちがいます。本体= 一面、というのは奇妙でしょ。

「4 + 6 」は、1 0 進法で考えると「1 0 」ですね。「1 0 」以外にはなりませんね。だから、「4 + 6 = 1 0 」です。「= 」は、「左のものは右のもの以外にはありえない」という意味です。

「私の名前はトム」の場合なら、名前は「トム」以外にはないので、「私の名前= トム」でもいいのです。「日本の首都は東京」( 首都は東京一つだけ) なども同様です。

しかし、「私、1 4 歳」は、「私」は「1 4 歳」以外にはありえない、とはなりませんよ。

「1 4 歳」は「私」の一面( 年齢の面)にすぎません。

「女の子」「中学生」「だれかの妹」その他、いろいろな面があります。だから、「= 」ではおかしいのです。

「彼女は親切だな」も「彼女」の一面( 性格面) を見ているだけです。「あの子は中学生」も「あの子」の身分を語っているだけです。

「これはペンだよ」は、「= 」でもいいような気がしますが、いま見ている「これ」は「文房具」とか「プラスチック製品」などとも見えます。

数学でいうなら、集合論で使われる「∈ 」( エプシロン) のほうではないでしょうか。

「私∈ 1 4 」なら、数学的にいえば、「私は1 4 歳のグループに入っている」という意味です。

他の例も、「親切という性格」「中学生」「ペン」のグループにそれぞれが入っている、と見ることができますね。

でもまあ、「= 」という思い込みさえないなら、これ以上のやっかいな話はやめましょう。

B パターンは「何が、*( ウン)、何だ」で理解すればいいのですよ。



A パターンとB パターン を区別するトレーニング

A パターンとB パターンの区別には、早めに慣れておきましょう。英語のしくみを理解する基本です。

次の文は、それぞれ、A とB のどちらのパターン? 日本語 をそのまま使って英語の欄順に並べると、どうなる?
① オレ、きのう、図書館で友だちとビデオをみたんだよ。
② さっき、ジョンがウチに来たんだ。
③ あの花、きれいだな。
④ あした、京都へ行くんだ。
⑤ ボクは、去年、キャプテンだった。
⑥ これ、君の本だよ。

① はA パターン。
「オレ、みた、ビデオ、友だちと、図書館で、きのう」の順。
「友だちと、図書館で、きのう」のどれかを先にしてもいいが、「オレ、みた、ビデオ」の順は崩してはダメ。

② もA パターン。
「さっき、ジョン、来た、ウチに」の順です。「さっき」は最後でもいいけど、「ウチに」の前に来るのはまずいですね。「来た」といえば「どこに? 」がすぐつながりますからね。

③ はB パターン。「つなぎ役」を入れれば、日本語の順と同じで「あの花、* 、きれい」です。

④ の主語は、この日本語では省かれていますが、英語では省きません。主語は、この④ を言っている本人ですね。A パターンで、「あした、私、行く、京都へ」です(「あした」は最後でもいい)。くれぐれも「あした、行く、京都へ」にはしないように。「あしたさんが行く」になってしまいますよ。

⑤ は過去の話ですが、「去年」「だった」を取り除いてみると、「ボクはキャプテン」ですね。B パターンです。

だから、「ボク、* 、キャプテン、去年」の順。「* 」には、実際の英語では、‘ a m ’ ではなく、過去用の語‘ w a s ’ を使います

⑥ は、「これ、* 、君の本」で、B パターン。

ここで注意を一つ。
日本語は、文の終わりに「です」「だ」「よ」などの助動詞や助詞をつけることが多いですよね( ほら、こういうふうに)。日本語の会話ではこれらはだいじにされますが、英語から見ると
ほとんど意味がありません。

いまの「多いですよね」は、英語の感覚では「多い」でいいのです。「何々していますよ」なども「何々している」をおだやかな言い方にしているだけで、何かほかの特別の意味が加わっているわけではありません。

話の内容として何が言われているのか、ということをつかむ ことが、日本語を英語にするときに気をつける問題です。

さっきの⑤ 「・・・キャプテンだった」でいえば、過去の話だな、という点に気をつけるだけでいい、ということです。

ただ、日本語でも終わりの言い方に特別の意味が加わっている、という場合がありますよね。その場合は、とうぜん、英語にするときも考慮します。

たとえば、「金があったらなあ」と夢見る場合や「彼は中学生だろう」という推測「~ か? 」という疑問文、などの場合です

でも、そういう特別の場合を除くと、通常は、英語に直すときは「です」「だ」「よ」などの付属語はないものと考えてください。

それなら、そんな付属語は最初から書かなければいい、と思われるかもしれません。

しかし、そうなると、どういう場面で使うのかの見当がつかない不自然な日本語にみなさんを慣れさせてしまって、逆効果になりかねません。

このサイトでは、日英比較の感覚に慣れていただくために、例文 は日本語の自然な会話にあわせて書くようにしています。

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