大学教授が教える『no + 名詞』の例文とその解説
「時間がない」は、‘‘ I have no time とも言いましたね。
‘ don’t have ’ではないから、形としては、否定の文ではありません。
「ある」と肯定していますが、「無の時間」と言うので、中身としては「時間がない」になるわけです。
こういう‘ n o ~ ’ は日本人には理解しづらい、と思う人もいるようですが、日本語にも似た言い方がいくらでもあるじゃないですか。
「無意味」「無理」「無料」「不躾」「不当」「非常識」「非課税( 無税)」など、「無」「不」「非」を使うことばです。
「それは無意味ですよ」は、「~
ではない」という否定の形ではありませんね。「です」と肯定しながら「無意味」と言っているので、「意味がない」になるわけです。英語の‘ n o + 名詞’
も、それと同じ感覚なのです。
無理=no possibility (可能性なし)
無料=no charge (経費,手数料なし)
無意味=no meaning (意味なし)
不躾=no manners (作法知らず、行儀知らず)
不当=no right (権利なし)
非常識=no sense (分別なし)
非課税=no tax (税金なし)
ただし、‘ no +名詞’がすべて「無?」などの日本語に置きかえられるわけではありませんよ。
たとえば、‘ no problem ’ (問題なし)は、「不問」 とは感じがちがいます。
次の例も、日本語で「無、不」などを使って表現はできないでしよ?
私には兄弟がいない。=I have no brother.
彼には友だちがいない。=He has no friends. (
friends’と複数形になるのは、話し手が「何人かいることがふつう」に思った場合です。以下同様)
あの木には葉っぱが一枚もない。=That tree has no leaves .
そのことにはことばもありません。=I have no words for that.(ことば=word )
何も知りません=I know nothing. (「無のものごと」の場合 は‘ no ’が‘ thing’といっしょになって‘
nothing’という一語になる)
お貸しできる部屋はありません。=We have no room to rent .
(貸す?賃貸する=rent)
戦争はィヤだ=We want no war.(戦争=war)
英語の‘ no?’が「ノー」として日本語の中にも入ってきていますね。
「ノー ネクタイ(ノー 夕イ)」(no tie )、「ノースリーブ」(no sleeve )、「ノ一 ポイント」(no point
)、.....と多いですよね
しかし、「ノータッチ」その他、実際の英語では使われていないものが多いので、要注意ですよ。
『 no + 名詞 』が主語になるパターン
‘ no?’が主語になることがあります。たとえば、「一人も(だれも)ここには来なかった」をこう言うことがあります。
No one came here. ( oneは「人」という意味)
日本語で、「一人も.....」「だれも......」「何も......」と言うと、それにつながるのは「?ない」ですよね。
「一人も私のことを知らない」「だれもこれをほしがらない」 「何も食べるものがない」のようにね。「だれも来た」なんて言えませんでしょ?
つまり、日本語の「一人も」「だれも」「何も」は、すでにそこに「?ない」が組み入れられているようなことばなのです
だから、“ No one came hereの主語‘ no one ’は、頭から 「だれもいない」と言っている、と見ればいいのです。「だれもいません、ここに来たのは」と考えるとわかりやすくなります。 それを英語の順にすると、「だれもいない(No one )、来た (came )、 ここに (here )」なのです。
否定語+名詞を使った英文の練習問題
次は英語でどう言いますか?① だれも彼女が好きではない。
② 一人もこのニュースを知らないんです。
③ 何もすんなりとは進まない。
(進むgo すんなりeasy)
④ だれ一人、私と話したがらない。
⑤ 何一つ、ふつうじゃない。(ふつう=normal)
解答と解説
① :「だれもいません、彼女を好きなのは」と考えます。英語の順にすると、「だれもいない、好き、彼女」です。‘ no one ’ は、単数扱いです。
“ No one likes her
② :「一人もいない、このニュースを知っているのは」と変形し、あとは①と同様。
‘‘ No one knows this news
③ :「 何 も な い 、 すんなり進むのは」 で 、「 何もない」 は‘ nothing ’ でしたね。
‘‘ Nothing goes easy
④ :「だれ一人」に惑わされないように。「だれもいない、私と話したがるのは」です。
‘‘ No one wants to talk with me
⑤ :Bパターンですね。「何一つ、ふつうじゃない」を「何 もない、*、ふつうなのは」とします。
“ Nothing is normal