英語の冠詞と名詞の単数形・複数形の解説(練習問題付き)

これまで何度か「一つ、二つ、… … と数えられるもの( 人) 」という断りを書いてきました。

なぜか?
リンゴは一個、二個、… … 、車は一台、二台、… … 、犬は一頭、二頭、… … 、というように数えることができますよね。人間も、一人、二人と数えられます。

これを一つ( 一人) と見る、という一定の形が基準としてあるからです。

車のハンドルを見せられても、それを「車」と言うことはできません。「ハンドル」が一つ、です。

では、「水」は数えられるか? 「コーヒー」は? 「野球」「サッカー」は? 「やさしさ」とか「平和」など、目に見えないことがらは?

何かの見えるものや思うものが「数えられる」か「数えられない」かは、数意識の強い英語にとっては重大な問題です。数えられないものなら、単数か複数かの区分はできませんからね。

切っても切っても、水は「水」

水はどう数えますか? 一杯、二杯、… … とは言いますね。でも、それはコップか何かに入った水ですよね。コップという入れものがその数え方の基準になっています。

下の絵のように、コップからこぼれてしまえば、水だけが出てきますね。それがまさに「水」です。その「水」は、どう数えます?
コップからこぼれた水の数え方は?


水道の蛇口から流れ出る水も、川の水も海の水も、「水」です。切っても切っても「水」です。水そのものを数えようとしてもどうしようもありません。一定の形がないからです。

形のない「水」は、‘water’ だけで、‘ waters ’ という複数形にはなりません。‘ water , water  , water’ と一つずつに数えられないからです(‘water ’ が「水」以外の意味で使わ
れるときは複数形になりえます。以下の例も同様)。

だから、「水一杯」と言うときは、コップに入っているなら‘ a glass of water ’、「二杯」なら‘ two glasses of water’ とするしかありません。バケツに三杯なら‘three buckets ’ です。

水が入っている入れものを数えるのです。ボトル( bottle )、洗面器( washbow  ) であれば、それを数えます。

「コーヒー」 も「お茶」 も同様で、カップに二杯なら‘ two cups of coffee ( tea ) ’ です。

液体はみな同じです。ジュースやワインにしても油にしても、入れものを数えます。あるいは、リットル( liter)とか立方センチ( cc = cubic centimeter ) などの数量単位で計るしかあ
りません。

「2 リットルの油」なら‘ two literts of oil ’ です。

同じように考えると、鉄や金や銅などの鉱物もそうです。

空気やガスなどの気体もそうです。

材料としての木材やガラスや紙なども一定の形がありません。

紙は数えられそうに思えますが、切っても切っても紙は「紙」です。「水」と同じです。ただし、入れものはありませんね。日本語と同じに「枚」( sheet )か「片」または「切れ」( piece ) で数えます。「紙三枚」なら‘ three sheets of paper ’、「一切れの紙」なら‘ a piece of paper ’ です(‘ a cup of coffee ’なども含め、これらを助数詞と見れば、英語では特別な例です)。

上のようなa glass of water ’ two cups of coffee ’ a piece of paper ’などは、‘ a lot of apples ’ と同様の言い方です。‘ a glass of water’ は「コップ一つだが、水の入ったコップのことだ」という感じでとらえればいいのです(「リンゴ」は数えられるので‘ a p p l e s ’ と複数形ですが、「水」は‘ water’のままですよ)。

‘ a glass of water ’ なども、「数+ 名詞」の仲間と見ておくといいでしょう。そのもの自体は数えられませんが、入れものが数の代わりをしている、と見るのです。

「水を一杯」ではなく、「ちょっと水を飲みたい」などの場合の「水」は、‘ some water ’ です。「リンゴをいくつか」と同じように、ある程度の量は‘ some ’で示します。個数ではなく量です。「いっぱい」なら‘ a lot of water ’ です(‘ many’ は「数えられるもの」にしか使えません)

食事中のテーブルで「砂糖を取って」と言うときの「砂糖」は‘the sugar’ でした。形のないものでも、ある具体的なものを指す場合は指示語を使います。

たとえば「この水は飲めない」などと言うときの「水」は‘this water ’ です。指示語には制限はありません。何でもアリ、と見ておきましょう。



数えることができない単数名詞の例

「野球」(baseball)「サッ力一」(soccer) 「テニス」(tennis)などのスポーツも形がありません。

野球の試合(baseball game)なら、最低九回までの一定の形式があります。それであれば、‘ two baseball games ’(野球 ニ試合)と言うことができます‘ game ’が複数になるのです)。

しかし、「野球が好き」「野球をする」などと言う場合の「野球」は、投げて打って走って取って、という運動全体のことですね。どこかを「一つ」と見ることはできません。一連の動きが「野球」なのです。その意味で、形がありません。

「野球が好き」は“Ilike baseball.”です。

「犬が好き」の「犬」は、裸の複数形の‘ dogs’でした。「野球」の場合は、丸裸の‘ baseball’です。正真正銘の「裸の名詞 」 です 。

「裸の名詞」の例をあげましょう。

「サッカーが好き」なら‘‘ Ilike soccer.”、「私、テニスをやっています」なら“ I play tennis ”です(play=何かのスポーツをする)。

「音楽」(music)も「これを一つと数える」というような形はありません。「曲」(song)なら「一曲、ニ曲」と言えますが、「音楽」は、一吹きの笛の音でも「音楽」でありえますね。だから、数えられません。「音楽が好き」は“ I like music . ” です 。
 
「平和」(peace)や「やさしさ」(kindness) など、目に見えないことがらも形がありません。だから、裸の名詞です。

「平和を願う」なら‘‘ We want peace.”、「やさしさはだいじだよ」なら“ Kindness is important,です(これは「何が、*、何だ」のBパターンですね。

「やさしさ」は数えられませんが、「*」には‘is ’を使います。)



特殊な使い方をする単数名詞

次のことには、ちょっと気をつけましょう。

さきほど、紙は切っても切っても「紙」だ、と書きました。
それなら、リンゴだって切っても切っても「リンゴ」ではないか、と思われたかもしれません。

リンゴは、スライスされたりして、紙や木材などと同じく、何かの材料としても使われますよね。アップルジュースやアップルパイなどに、ですね。そういう場合の「リンゴ」なら、‘ apple ’ です。一定の形がありません。

“ I like apple. ” と言うと、何かの材料に使われている場合の「リンゴ」が好きだ、という意味になります。裸です。複数形でもありません。
スライスされたリンゴやケーキの中に見えるリンゴのかけらを数えるなら、それが二つだと‘tow slices of apple ’ です(‘ ~of apples’ じゃないですよ。そう言ったら、丸ごとのリンゴになります。スライス二切れと矛盾もします)。

肉類( meat ) も同じです。牛肉( beef) は切っても‘beef’ です。その調子で、犬を‘ dog ’ と裸で言ってしまうと、「犬の肉」になりますよ。くれぐれもご注意を。

もう一点。

「車で行く」などと言う場合の「車」も、裸になります。「一台、二台」と数える具体的な「車」のことではありません。交通手段のことを言っているのです。

「車で」は‘ by car’と言います。‘ cars ’と複数にもなりません。いくつでもいい、という数意識は関係しません。あくまでも「車の働き」を見ているのです。

「学校に行く」の「学校」も裸の‘ school ’ です。「制度としての学校」という意味で、形はありません。「あそこに学校( 一校) がある」という建物の意味なら、‘ a school’ です。

名詞がそのまま裸で使われるのは、日本語では当たり前のことですね。ところが、英語では例外的なのです。

「一定の形がないもの」( したがって、数えられないもの)を指示語もなしで言う場合だけです。

例外的ではありますが、実際に言われる名詞表現のうちの約6 . 1 % はあります。



名詞表現のまとめ

これまでをまとめておきましょう。名詞は、次のいずれかで表現します。
① 指示語の前置きがある名詞( 単数か複数形) = 約5 4 %
② ‘ a ( an ) ’ の前置きがある名詞( 単数形) = 約2 1 . 7 %
③ ‘ some ’ ‘ a lot of’ ‘ a cup of ’ などを含み、数の前置きのある名詞( 複数形) か、‘some water ’ などのような、量の前置きがある名詞( 数えられないもの) = 約1 5 . 7 %
④ 何の前置きもない、裸の複数形の名詞= 約2 . 5 %
⑤ 前置きもなく、複数形でもない、完全に裸の名詞( 数えられないものにかぎる) = 約6 . 1 %

注意: なお、書名や新聞のみだしなどでは、数えられるものでも、裸で使われることがあります。しばしば、先頭の一字が大文字で書かれます。

これで、全部です。つまり、名詞は、何かの「前置き」を衣装のようにつけているのが9 割以上で、わずかに「裸の複数形名詞」か「完全に裸の名詞」がある、ということです。




冠詞に関する練習問題

整理の意味をかねて、練習問題を少し。

次の紫色の文字部分は英語でどう言うでしょうか?
① 見てみろ! 屋根の上にがいる。

② 彼は大きな石にかかえた。石=stone、腕=arm

新しいエンピツがほしいな。エンピツ=pencil

切手を集めるのって、おもしろい? 切手=stamp

はたいせつにしましよう。 木=tree

⑥ 彼女にe メールを送り忘れたe メール=e-mail

⑦ ポクはマンガが好きです。 マンガ=comic

⑧ (食後に)コーヒーでもいかがですか?

正直がいちばんいい。(正直=honesty )

⑩彼は正直な男の子だ。(正直な=honest )

も好きだが、はもっと好き。(星=star)

⑫このテーブルでできている。テーブル=table

⑬私はバスで通っています。(バス=bus)

⑭きのう、が亡くなりました。

解説
① の「屋根」は、互いにすでにわかりあっている屋根ではなく、いま指さした「あの屋根(that roof )、「犬」は‘ a dog ’ でしょう。何匹かいるなら‘ some dogs ’です。

② の「石」は大きいのだから一つでしょう(a big stone )。「腕」 は両腕ですよね。それに、その人の腕です(his arms )。

③ の「エンピツ」は一本ではないでしよう。こういう場合は some pencils ’で、「新しい」があるから‘ some new pencils ’ですね。

④ の「切手」は「何枚くらい?」という数は関係しません。 何枚でもいいのですね。だから、裸の複数形の‘ stamps ’です。

⑤ も同じで、裸の複数形‘ trees ’です。数を限定して「たいせつにしましよう」というのではおかしな話です。

⑥ は、「送り忘れた」というのですから、一通のことでしょう。‘ an e-mail’です。

⑦ の「マンガ」は、数は問題になりませんよね。裸の複数形 ‘comics’ です。

⑧ は、一杯にかぎりませんが、無数でもないですよね。そう いうときは‘ some coffee ’。一杯を念頭に置いているなら、‘ a cup of coffee ’。

⑨の「正直」は形のないものです。裸の名詞‘ honesty’。

⑩は‘ an honest boy ’です。anに注意。

⑪の「月」は、ただ一つのものだから、‘ the moon ’でしたね。「星」はたくさんあります。数を限定しないで「好き」と言うわけだから‘ stars ’。

⑫の「このテーブル」は‘ this table’ですが、「石」はどうでしょう? 材料ですね。裸の名詞‘ stone ’です。

⑬の「バス」は交通手段ですから‘ bus ’で、裸です。

⑭の「母」は、これを言っている本人の母のことですね、「私 の母(my mother) です。

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