参考書に書かれている経験、継続、結果、 完了は覚える必要なし!現在完了を1から徹底解説!

まだ、ボブの夢の中です。
メアリーは、頭が混乱しているのか、「トムがどうして殴られたのか」と何度も聞き返すのです。ボブは、「そのこと、もう何度も言ってるよ」と、少しいらだっています。

二人のセリフ、英語でどう言うか? ボブのほうは、次のように言います。
I have said that many times. ( time =回数)
=そのこと(that)、もう何度も言ってるよ。

「何度も言った」のは過去のことだから、‘ I said?’ではないのか?

「何度も言った」のは、たしかに過去です。しかし、「もう何度も言っているよ」というのは、これまでに済んでいるので、 また言う必要もないじゃないか、と「いま」のことを意識した言い方ですよね。
だから、過去に何があったのかという事実を伝える役目の過去形(言ったI said that)では役不足です。過去のできごとをもちだしながら「いま」を語る(あるいは、ほのめかす)、という「ことばの技」が必要なのです。

それが、‘ have +「過去分詞’(I have said that)です。「過去」と「いま」を連結したかのように、「?した」ということが「ある」(自分はもっている)、という組み立てです。英語のこの形を一般に「現在完了形」と呼んでいます。

具体例をもっと見ておきましょう。
① 「テレビばかり見ていないで、宿題くらいはちゃんとやりなさい」と母親に言われた子どもが言いました。
I have finished my homework.

② 三歳になる息子のケンと今夜も遊ぼう、と父親が急ぎ足で仕事から帰りました。妻がこう言いました。
Ken has already gone to bed . (already =すでに、go to bed =寝る、bedは冠詞なし)

③ 「この本、読むといいよ」と勧められた人が言いました。
I have read that book before. ( before =前に、以前)

④ 「この夏、仲間みんなで旅行しよう。沖縄と北海道、どっちに行きたい?」と聞かれた人が言いました。
I have visited Okinawa three times.

⑤ 「東京の地下鉄詳しい?」と問われた人が言いました。
 I have lived in Tokyo for 2 0 years. (20= twenty)

⑥ 「みんな、もうすぐ試合に行く時間だぞ」と先輩から言われた下級生たちが言いました。
We have not had lunch yet.
(yet =まだ、not =?ではない。)

⑦ 車の修理を頼んだけど、「終わりました」の知らせがなかなかありません。修理工場に電話して、こう言いました。
Five days have passed since then.
(pass =経つ、since=?以来)

⑧ 朝早く、「お父さん、いらっしゃいますか?」と電話がありました。息子が答えました。
My lather has gone to work.

動詞の部分は、すべて‘ have (has) + 「過去分詞」’です。



過去形と現在完了形の比較

①の“ I have finished my homework.”は、日本語にすれば 「宿題はもうやってあるよ」というところです。
「もう?している(ある)」という日本語は、英語の現在完了にうってつけです。

「もうやったよ」でもほとんど響きは変わりませんが、それは、「もう」のせいです。「宿題、やったよ」と「やってあるよ」 だけなら、響きもちがいます。

ことばにするときの目のつけどころがちょっとちがうのです。図にしてみます。


過去形のイメージ


現在完了のイメージ

「やった」は、過去のその時点に目が向きます。数時間前、 きのう、その他、「やった」ときを意識しています。

「やってある」は、すっかり片づいていて、いまやることは何もない、といういまの状態を意識しています。「だから、テレビも見ていられる」とほのめかしてもいます。

目のつけどころは、過去の「やった」時点よりも「いま」に比重があるのです。でも、「やった」という過去の事実をもちださなければ、「いま」(やることは何もない)は語れません。

だから、「これまでに」という過去の方向へざっと目をやります。それが、「もう」(あるいは、すでに)の意識です。

微妙なちがいですが、次のことに影響します。

宿題はきのうやった、としましょうか。
それを口にする場合、日本語でも「きのう、やってある」とは言えませんよね。「きのう」は、過去の時点をはっきりあらわすことばです。だから、「きのう、やった」としか言えません。
A図の夕イプです。

英語も同じです。過去形で言うしかありません。現在完了の形は使えません。
“I finished my homework yesterday.,’( ? I have finished my homework yesterday.)

他の例も同様です。
②は、「寝ているから、今夜はケンと遊べませんよ」といういまの状態を意識して妻が言っているのです。日本語にすれば 「ケンはもう寝ていますよ」です。

かりに妻が「ついさっき」と言うなら、日本語では、動詞部分はどうしても「寝た」になりますね。「ついさっき、寝ましたよ」ですね。「ついさっき、もう寝ていますよ」では、ことばの混乱ですよね。

英語もおなじです。‘ just before ’ (ついさっき)と言えば、 ‘went to bed’(寝た)と過去形になります。‘before’ (前に) に‘ just ’がつくと、「ちょっと前」の一時点に目が向くのです。

“ Ken went to bed just before.,’( ? Ken has gone to bed just before.)

③も、「その本、知っているよ」といういまの状態を意識して言ったのです。「前に、もう読んでいますよ」という日本語が当てはまります。
‘ just ’のない‘ before ’(前に)は、一時点を指しているのではなく、「これまでに」と同じような意味ですから、現在完了でも使えます。

これを「おととい」(the day before yesterday)などと入れ かえると、「その本は、おととい読んでいます」とは言えません ね。どうしても「読んだ」(read)と過去形になってしまいます。
“I read that book the day before yesterday.” ( ? I have read that book the day before yesterday. ”

何かが起きた過去の時点にはっきりと目が向くと、過去形です。現在完了形にはできません。日英ともに同じです。
注意:そういう場合でも現在完了で言う、というケースがまるでないわけではありません。でも、 上のことが基本です。
ただ、‘today’(きよう)、‘ this morning ’(今朝)、‘ this week ’(今週)などは、過去でも現在完了でも使います。

例:「きょうは、仕事を終えました(きょうは、もう仕事を終えています)」
= I finished (have finished) my work today.



「もう?している(ある)」は現在完了の基本

 これまでの現在完了部分は、日本語では、どれもが「もう? している(ある)」という形になっています。

英語の現在完了に相当する日本語は、「もう(すでに)?している、してある」が基本なのです。「していない」なら「まだ ?していない」です。日本語版の現在完了形です。
注意:日本語文法には、「完了」という用語はありますが、「現在完了」という用語はありません。

英語の現在完了形 have+過去分詞
相当する日本語の基本 もう(すでに)している(ある)

 
その基本とはちがう形の日本語を当てることはできます。 たとえば、「もう何度も言ったよ」「もう寝てしまった」「前に読んだことがある」と言っても、伝わる内容はあまり変わりませんね。

しかし、英語の現在完了は、‘ have + 「過去分詞」’という 一種類の形です。それなら、それに見合う日本語も、できるだけ一種類の形にすべきです。

文によって日本語の形をいろいろ変えると、現在完了の基本がとらえにくくなってしまいますよ。

英文法の本を見ると、「現在完了には、経験、継続、結果、 完了の四種類がある」という説明によく出会います。

たいてい、それぞれ「?したことがある」(経験)、「ずっと ?している」(継続)、「?してしまった」(結果)、「?したところだ」(完了)、という日本語が当てられています。

ところが、「四種類」に慣れてしまうと、かえって不自由なことになります。大学生になっても、上の四通りの日本語以外では英語の現在完了が使えません。

たとえば、「もう何度も言ってるよ」は、四つのどれ? どれでもないから、英語は、過去形? 現在形? 現在進行形?

基本をまず一つおさえることです。そこに収まりきらないものは、日英の差として、特別に注意すればいいのです。

いまの四つも、「基本をいじれば、そうも言えるかな」くらいに見ておけばいいのではありませんか?

④以降の例文をさっきの「基本」にしたがって日本語で見てみましょうか。
④ は、沖縄か北海道かと問われたので、「せっかくの機会なら、沖縄はナシかな」のような意識をもちながら、「沖縄には、 もう三回も行っています」と答えているのです。聞いた側も、「この人は、沖縄はナシだな」と了解します。

⑤ は、「東京には、もう20年住んでいます」と言っているのです。いまも住んでいるのですよ。
といって、現在の一定した状態をあらわす現在形(I live?) ではありません。20年という期間を見てしまうと、「一定」が期間限定になります。現在形の守備範囲ではありませんでしたね。

また、‘ have lived?’を「20年住んでいた」という日本語にはできませんよ。日本語でそう言ってしまうと、過去の一時期の20年に目を向けていることになりますね。そういう場合は、過去形です。過去形は「期間」と同居できましたね。“ I lived in Tokyo for 20 yearsです。

この⑤は、「東京の地下鉄に詳しい」といういまの自分を意識して、それをほのめかしながら、いまを含む20年の積み重ねをざっと見渡しているのです。「もう20年住んでいる」としか言いようがありません。

⑥は、「昼飯、まだ食べていません」ですね。「腹がへっては、 試合にならない」というあたりの意識をもっているのでしよう。

⑦ は、「あのときから、もう五日も経っていますよ」です。「遅いじやないか。困っている」と語っているのに等しいですね。

⑧ は、「父は、もう仕事に出かけています」で、「いま家には いない」といういまのようすを語っているのです。
ただし、「もう?している(ある)」という形は、「基本」であって、「ただ一つ」ではありません。
その形の日本語ではどうしても合わない、という英語の現在完了があります。多くはありませんが、特別の注意が必要です。



「もう~している」と訳すことができない現在完了

たとえば、何か探し物をしながら「サイフをなくしてした(なくしちやった)」と言ったとします。

探しているわけだから、いまサイフがないのです。それを意識しながら言っているので、英語は現在完了です。
“ I have lost my wallet. ”

“ I lost my wallet(過去形) であれば、なくした過去の一時点に目が向いているので、聞き手は「見つかったの? 」と聞きたくもなります。

‘ have lost’ であると、「見つかったの? 」とは聞きません。‘ have lost ’ が「いまサイフがない」状態を語っているのに等しいからです。

この場合、英語は現在完了ですが、日本語では「もうサイフをなくしている」とは言いませんね。
「もう( すでに)」という日本語は、やるはずのこと、やるべきこと、計画的なこと、などが完了している場合に使われますよね。
「なくす」というのは、うっかりしたことです。「うっかり、偶然」のことを英語で現在完了で言ったなら、日本語では「してしまった」あたりが似合います。

窓ガラスを割って、「どうしようか」と悩んでいるいまの状態を意識しながら言うなら、英語は“ I have broken the window .”で、現在完了です。日本語なら「割ってしまった( 割っちゃった)」あたりですね。
‘ have broken ’ が、計画的にガラスを割ったあとなら、「もう割ってあるよ」ですがね。

もう一つ。‘ j u s t ’( たったいま) が現在完了に使われることがあります。たとえば、‘‘ He has just come here

これは、「たったいまですが、もう来ています」という意味です。「ここにいる」という「いま」を語っているのです。

これを日本語で「彼は、たったいま、もう来ています」と言うと、ヘンですね。「もう」は、「これまで」をざっと振り返る ことばだから、「たったいま」とは反発しあってしまいます。

ここは、「来たばかりです」とするほうが、似合います。「ここにいる」「たったいま」の両方の感じも含みますからね。

「基本」はほとんどに当てはまりますが、ダメなケースもあるのです。だからといって、「基本」を捨てては本末転倒です。 ダメなケースは、例外として注意しておけばいいだけですよ。 上のような二つのケースくらいですからね。




時間の感覚は日本語に比べて英語は敏感

「もう?している」の「?している」だけを見てはいけませんよ。「現在、中学で英語を教えています」「彼は、いま、教室で英語を教えているよ」も「?している」の形です。

日本語は、ちがう時間感覚をちがう言い方で厳密に区別してあらわす、ということはしないのです。
だから、英語との関係には注意が必要です。

現在( ふだん)、~ している= 英語では、現在形
いま、~ している= 状態動詞なら、現在形。動作動詞なら、現在進行形
もう( すでに) ~ している( ある) = 現在完了形

日本語の場合、たとえば「教える」という動詞を単独でいえば(助動詞は使っても、他の動詞に連結しなければ)、(1)「教 える」、(2)「教えた」だけです。

(1) は、たとえば「あした、……教えるよ」のように「未来」 のことを言うときに使うのがふつうです。ときに「現在の習慣」 を言う場合にも使いますがね。「毎週、弟に数学を教えるんだよ」 のように。

(2) は、「過去」で、たとえば「きのう、……教えたよ」、と使うのが基本です。
他の時間感覚は、別の動詞「いる(ある)」につなげる言い方で切り抜けているのです。だから、次の三つは同じ言い方になってしまいます。「三兄弟」のように。

( 3 ) 現在の一定したこと( 現在、… … 教えている)

( 4 ) いまやっている最中のこと( いま、… … 教えている)

( 5 ) 英語の現在完了と同じこと( もう、… … 教えている・ある)
注意: ( 5 ) は、「教えたことがある」「教えたばかりだ」などと言うこともあります。
でも、英語の現在完了に相当する動詞部分の表現としては、広くは通用しません。

英語の‘ t e a c h ’ も、主語につづく単独の動詞としては、①現在形‘ t e a c h  ( t e a c h e s ) ’、② 過去形‘ t a u g h t ’、の二つだけです。

しかし、日本語が「いる( ある)」を借りたように、英語も他のことばを借りれば、上の( 1 ) ~ ( 5 ) は、英語では別々の言い方になります。
しかも、それぞれが一つの形として決まっています。ちがう時間感覚はちがう言い方にする、というのが英語の鉄則です。 時間表現(時制)については、英語の感覚は鋭いのです。

主語「彼」または「私」、動詞「教える」の例で、見ておきましよう。

(現在)彼は英語を教えているのだよ。
He teaches English.

(いま)教室で英語を教えているよ。
He is teaching English in the classroom.

(もう)10年も英語を教えているんだよ。
I have taught English for 10 years.
 I’ve?と短縮することが多い。他の例も同様)。

(きのう)君の弟に英語を教ぇたょ。
I taught English to your brother yesterday.

(あした)君の生徒たちに英語を教えるよ。(いま決めた)
I will teach English to your students.

君の弟に英語を教えるんだよ。(その予定)
I am going to teach English to your brother.

ほら、全部ちがうでしょ。まだありますよ。

過去の進行形「昨夜は、弟に英語を教えていた」=“I was teaching English to my brother last night.”

未来の進行形「あしたのいまごろは、だれかに英語を教えているよ」=“I will be teaching English to someone this time tomorrow.” ( someone =だれかある人)


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