動詞にSをつける場合とつけない場合
トムには両親と弟二人と妹一人がいるとしましょう。その家族について彼は次のように言ったとします。
① My parents want a dog . parent =親
② My brothers want a dog .
③ My sister wants a dog .
①の‘ parents’は複数形で「両親」のことです。②‘ brothers’ も複数です。③の‘sister’は単数(一人)ですね。
①②の動詞は‘ want ’ですが、③は‘ wants’([ - ts」)です。
‘ want ’の複数形ではありませんよ。動詞は「もの、人」では ないので、複数になることはありません。日本語も同じでしよ。
①の主語が「母」か「父」であれば“My mother (father) wants a dogです。弟が一人だったら、“ My brother
wants?”です。逆に、妹が複数だったら、“ My sisters want?”です。
つまり、主語が複数か単数かによって動詞がちがうのです。
図でくらべてみます(「何を」以降は動詞のちがいとは無関係)。
主語の複数‘ brothers’ ‘ sisters’の‘ s ’が消えると、反対 に、動詞‘ want ’のほうに‘ s ’があらわれて‘ wants
’になっているでしょ。主語のほうの語尾‘ s ’が動詞のほうに移動したかのように見えます。
もっと例を見てみましょう。動詞に‘ s ’を加えるやり方と発音は複数形の場合と同じです(
主語が複数 ? 主語が単数
① The dogs like ? The dog likes
② My aunts live ? My aunt lives
③ The doctors know ? The doctor knows
④ These girls wish ? This girl wishe
⑤ Those girls go ? That girl goes
⑥ The students study ? The student studies
⑦ These boys have ? This boy has
⑧ Your friends have ? One of your friends has
注意
live =住んでいる
know =知っている
these =thisの複数形(これらの)
wish=願う
those =thatの複数形(あれらの) go=行く
student =生徒(複数形[-ts」) study =勉強する
⑦‘ have ’は特殊で、‘ ve ’が消えて‘ s ’が加わり、 ‘has’。主語は one of your friends ’ (君の友だちの一人)
同じですね。「主語にSあり、動詞にsなし。主語にsなし、 動詞にSあり」です。複数形がs
’形ではない名詞はどうか?
⑨ Your children have ? Your child has
⑩ They go ? He goes or She goes
⑪ They have ? It has ?
注意:
⑲they =彼ら、彼女ら
he=彼、she=彼女
⑪they =それらit [it」=それ
‘ gentlemen women ’ feet (foot) ’などでも同じですよ。「主語が複数(単数)なら、動詞にsなし (sあり)」です。
複数でも‘?s ’形にならない名詞は、それほど多くはありま せん。よく使われる語は、これまでに紹介したものくらいです。
それを頭の隅っこにきちっと置いておけば、「主語にsあり、 動詞にsなし。主語にsなし、動詞にsあり」は「合いことば」 にできます。
これ以降、「sあり」は「S形」と書いていきます。「sなし」 は、名詞の場合は「単数」、動詞の場合は「単純形」とします。
「主語がs 形→ 動詞は単純形、主語が単数→ 動詞はs 形」です。これが、主語と動詞のルールです。
例外はあるか?
あります。主語が単数でも、‘ I ’ と‘ you ’にかぎって、動詞は単純形です。たった二語の例外です。
複数「私たち」「君たち」~ 単数「私」「君」
We want? I want
You want? You want
注意:
単数「君」も複数「君たち」も同じ‘ you ’ でしたね。
例外はその二語以外にはないので、二語のために上のルールを修正することはないですよね。
Be動詞の場合、主語によって動詞はどのように変化するのか?
B パターン「何が、* 、何だ」の「* 」は、‘ a m , i s , a r e ’のどれかでした。それらの動詞をまとめて「b e 動詞」と一般にいわれますが、かえってわかりづらくなりますので、* 印動詞のままで進めます( * は、「ウン」とでも何とでも適当に読んでください)。その* 印動詞の‘ am , is , are ’ は、主語によってどう使い分けるのか?
主語が複数 ? 主語が単数
① My brothers are ? My brother is
② Your dogs are ? Yourdog is
③ These girls are ?This girl is
④ Our teachers are ? Our teacher is?(担任教師)
⑤ Their mothers are ? One of their mothers is
⑥Its legs are ? One of its legs is
⑦ The children are ? The child is
⑧ They are ? He (She, It) is
⑨ We are? I am ? (‘ I ’は特別)
⑩You are? You are(‘you’は複数に同じ)
注意
our =「私たちの?」という指示語
⑤ their =指示語「彼らの、彼女らの、それらの?」
⑥ its=指示語「それの?」。‘ its legs ’は、 机など、何か「それ」といわれたものの脚
主語が複数なら、すべて‘ are ’ です。主語が単数になると、‘ is ’ です。‘ are ’ に‘ s ’ がつくのではないけど、s 形です。
例外は、B パターンでも‘ I ’ と‘ y o u ’ だけです。‘ y o u ’( 君)は、主語が複数の場合に使われるのと同じ‘ a r e ’、‘ I ’ は特別で、‘ a r e ’ ではないが、それに似た‘ a m ’ です。
‘ a r e ’ を他の動詞の単純形と同等に見なすと、やはり「主語がs 形( 複数) → 動詞は単純形、主語が単数→ 動詞はs 形」です。これを全部ひとまとめにして、< s 形ルール> と呼んでおきます。

しつこく言っておきます。「主語がs 形」は、‘ children ’ なども含む「すべての複数形名詞」のことですよ。
三人称単数系は過去や未来を表す動詞では使われない
どうしてそのルールになるのか?これはもう、「英語の長い歴史の産物」というしかありません。古い英語では、主語「何が」と動詞「する」の関係はさらに複雑だったのです。それがいろいろと変化を重ねて、現代ではこれだけが歴史の産物として残っているのです。
これだけです。
しかも、動詞が何であれ( (want/wants、go/goes、 have/has、..... )、話が「いま( 現在) 」のことに関する場合だけのルールです。その場合だけ、動詞の形( 現在形) が二つあって、主語によって使い分けるのです(「* 」だけは、三つ)。
「ほしかった( wanted )」「行った( went )」「もっていた( had )」、その他、過去の話になると、そのようなルールはありません。主語に気をつかうことなく、同じ動詞を使うだけです。
さらにいえば、「いま( 現在)」の話の場合でも、上のルールはもう少し範囲が狭いのです。
「~ することができる( c a n )」「~しなければならない( m u s t )」その他、「可能」「義務」など、話し手の判断をあらわす特別のことばが動詞につくと、s 形ルールは消えてしまいます。「未来」をあらわすことば( w i l l ) がついても、消えてしまいます
歴史がことばを単純にしたのです。
三人称単数系の動詞の練習問題
少し練習しましょう。次の文を英語にしてみてください。① 私たちの両親は動物が好きなんです。
② オレのおじさんは車を三台もっているんだよ。
③ これはペンだよ。 ( これ= t h i s )
④ あの人たちは学生だよ。( 学生= s t u d e n t )
⑤ この花には水がいくらか必要だ。( 花= f l o w e r )
解説
① は、主語がs 形‘ our parents ’ だから、「好き」は単純形の‘ l i k e ’。「何を」欄の「動物」は、数にかぎりはありませんので、裸の複数形‘ a n i m a l s ’です。“ Our parents like animals . ”
② の「オレのおじさん」は一人のようですね。そうすると、「主語は単数→ 動詞はs 形」です。「もっている」のs 形は‘ h a s ’でしたね。“ My uncle has three cars.”
③ は「何が、* 、何だ」のB パターン。ペン一本( a pen )を指して「これ」と言っているのでしょう。主語「これ」は単数だから、動詞「* 」はs 形の‘ i s ’ です。“This is a pen.”
「この~ 」も「これ」も‘ t h i s ’ です。「あの~ 」も「あれ」も‘ t h a t ’。「その~ 」は‘ t h e ’ だけど、「それ」は‘ i t ’ で、「それの~ 」は‘ i t s ’ でしたね。
④ も「あの人たち、* 、学生」ですね。「あの人たち」は、かんたんに‘ t h e y ’ でいいのです。男でも女でも男女混合でも‘ t h e y ’ です。複数だから、「* 」は‘ a r e ’ です。
「学生」も複数にします。「何が、何だ」の「何が」と「何だ」は、両方とも名詞なら、数の意識をあわせる必要があります。
これが「彼は学生」なら、“ He is a studen” です。「彼らは学生」となると、「学生」は「彼ら」と言われた数だけいます。
何人なのかはわかりませんが、適当に‘ some (many) students’とするわけにもいきません。こういう場合は、裸の複数形‘ s t u d e n t s ’ にする以外にないのです。They are students
前の③ が、複数のペンを指して「これらはペンだよ」と言っているなら、‘‘ These are pensです(「これら」も「これらの~ 」と同じ‘ t h e s e ’。「あれら」も「あれらの~ 」と同じ‘ t h o s e ’)。
⑤ は、「この花は、必要としている、水をいくらか」と考えればいいのです。「花」は一つなのでしょう。だから、動詞はs形を使って、‘ n e e d s ’ですね。「水がいくらか」のほうは、‘ some water ’ でしたね。“ This flower needs some water"
英語を話すネイティブも子供の頃は三人称単数のsを付け忘れる
【Example of Mistakes】Want and Wants
There is a cat named Buzz next door. He visits our house on sunny days. My children love when he comes by. Both of my children want to give him a treat. Not too long ago my son (five years old) said this: “Dad, Buzz want some milk.” He should have said, “Dad, Buzz wants some milk.” As I was pouring the milk for Buzz, I realized that my son makes this mistake less often than he used to. He made this mistake a lot when he was four.
(要旨)
となりにバズという名のネコがいます。ウチの子どもたちはバズをかわいがっています。あるとき、息子( 当時5 歳) が言いました。
「パパ、バズはミルクがほしいよ( w a n t )」。
「ほしがっているよ( w a n t s )」と言うべきですね。それでも、こういうまちがいは以前よりも少なくなりました。4 歳のころは、ひんぱんでしたよ。